14.『密室殺人ゲーム王手飛車取り』歌野晶午

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社ノベルス)

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社ノベルス)

「本格」についての解釈は人それぞれだと思います。そして私にとっての「本格」とは「トリックのために他の要素を排除したミステリ」です。人間や人間の感情、日常や人間関係、犯行の動機などを意図的に排し、条件と状況だけで推理ができるようなミステリ、それが「本格」だと思っています。
 そんな意味で、この作品は「本格」を意図したものだと思います。ミステリゲームをするために実際に人を殺す設定とか、登場人物の関係がインターネット上の会話だけとか。その会話も基本的にミステリについて必要な情報しか話さないので、さくさく推理してさくさく解決します。まさにミステリのためのミステリです。何だそれ。
 推理する謎自体は小さいですが、読み進むテンポがいいのでそこまで気になりませんでした。あと終盤の展開やラストは何かの皮肉っぽく感じました。何かは分かりません。深読みしすぎかもしれません。