「心あたりのある者は」米澤穂信

野性時代 vol.37 (2006 12) (37)

野性時代 vol.37 (2006 12) (37)

 野生時代12月号に収録されている<古典部>シリーズ短編。『氷菓』事件における折木の役割を誉めそやす千反田に、折木が「簡単に理屈をくっつけるなんてできない」と証明しようとするお話。ミステリの探偵なんてだいたいそんなものですね。
 短い放送だけを発端に話を広げ、さらに収束させる。見事でした。日常ミステリの模範ですね。普段より短いためか、あるいは部室での会話に収束しているためか、あまり<古典部>シリーズという感じはしませんでした。スニーカーと野生時代の違いでしょうか。
 今回の企画「新境地短編」にはミステリやラノベの作家が何人も書いています。気になる方はそちらも読んでみてはいかがでしょうか。