33.『化物語(上)』西尾維新

化物語(上) (講談社BOX)

化物語(上) (講談社BOX)

 レーベルへの文句は方々で呟いているのでもういいです。
 一端の高校生・阿良々木暦と、彼を取り巻く種々の怪異――そんなお話がどうでもいいくらい、終始ボケとツッコミで構成された小説です。戯言シリーズの皮肉屋や壊れた世界の壊れた世界もありません。もちろんミステリも皆無です。殺人鬼武闘会魔法少女ジョなんてもってのほか。ただ主人公が女の子と疾風怒濤のボケ&ツッコミを繰り返すだけです。他には何もありません。けれど私はそんな西尾の作風が何よりも好きなのでした。
 西尾本人もあとがきで「とにかく馬鹿な掛け合いに満ちた楽しげな小説を書きたかった」と断言しています。いっそ潔いですね。いいぞ西尾、もっとやれ!
 基本的にメフィストで連載された3作品の再収録です。1〜2行ボケとツッコミが増えている程度です。なのでメフィストを読んでいる方はよほどの理由がない限り買わなくていいでしょう。
 読んでいる最中が楽しければそれでいい、そんな読者は是非。