14.『銃とチョコレート』乙一

 ファウストの短編以外では目立った小説を書いていなかった乙一。その久々の書き下ろしはミステリーランドです。すべての積読と借り本(すみません)その他を置き去りにしました。
 面白かったです。単なる子供向けの探偵小説かと思いきや、そこはミステリーランド。むしろ乙一。わりと黒いです。容赦がないです。挿絵が怖いのは必然ですね。
 主人公リンツの勇気と冒険。コミカルなキャラクター。子供向けに書かれた要素が目立つ一方で、伏線とその回収、どんでん返しといったミステリ的な要素も忘れていません。大人も子供も楽しめるミステリーとして、よくできた作品だったのではないでしょうか。
 やっぱり乙一は読みたい作家です。