「『メラ』って言ったら火の玉が飛び出た! 何故だ!?」「ゲームだからさ……」

 こちらのエントリが面白い内容だったので、それについてのコメントとか反論とか冗談含めつつつらつらぐだぐだ。先に↑読まないと何のことか分かりませんよ。
 極端な反例として、炎に関するあらゆる現象(発生・運動・消失)が他の自然現象と独立して起こる世界があるとします。炎が燃焼の結果とかエントロピー云々とか完全無視の、科学のかの字もない世界です。そもそも炎が私たちの思う炎であるかどうかさえ疑わしい世界です。
 この世界でメラが飛ぶためには「炎に関する現象を操作できる翻訳者」の存在が必要です。しかしこの世界に限って言えば、翻訳者は別に万物を操作し得る「神」である必要はなく、とにかく炎が操作できる程度の能力があるならものなら何でもいいわけです。例えば四大元素の思想に基づく精霊やヨーロッパ民間伝承発祥の妖精、日本だと八百万の神や妖怪、最悪炎を構成する何かしらの要素や火の玉自身(アニミズム)、メラ発生マシーン(何故か見えない)でも構いません。目標に火の玉が飛んでいく一連が「メラ」の一言だけで行われるのは、術者の考えがどこまで及ぶかにもよりますが、術者の考えるイメージが以心伝心する、指さした方向に火の玉が飛ぶよう翻訳者を犬みたく調教する、「お手」みたく特定の動作の文句を決めて/決まっててひたすら頑張る、といった方法が考えられます。
 このような精霊や妖精の存在は、やはり古代〜中世の科学が確立していない頃の世界観・思想をベースにしたファンタジーRPG作品に多い気がします。基本的に無宗教アニミズムで巫女さんが大好きな日本人にある意味馴染みやすい世界観かもしれません。エクスカリバーとか大好きですしね日本人。
 逆に、翻訳者として万物を操作し得る「神」が必要になるのは、その世界の自然現象が基本的には物理法則で説明できる前提の世界、即ちより現代的・現実的・科学的な考えをもとにした世界ではないでしょうか。なまじ物理法則が世界を縛っているため、それを超越したものとなると何だかよく分からないけどすごい存在=神に頼るしかない、といった感じで。妖精さんとか出すとゆんゆんして世界観が台無しになりますしね。
 ところで、個人的には上記のような実際の物理法則をベースに、それを超越した作品がいわゆるSFだと思っています。最近のラノベでファンタジーと呼ばれるものは、その多くがSFなんじゃないでしょうか。ファンタジーとSFの境界なんて個人の信念以外の何物でもありませんが。
 とまあ色々書きましたが、結局は魔法等がその世界の物理法則を超越するための設定が、きちんと考慮されているか否かでしょう。困ったときの神頼みは手抜き以外の何物でもありません。
 
 ここまできて何ですが、実際ドラクエの世界では全知全能のいわゆる「神」の存在が認められちゃってたりします。人が住むすべての町に同じ様式の教会があって同じ顔の神父が「おお神よ この者たちに〜」と同じ科白を宣いますし。よく考えたら気持ち悪い世界ですね。そういえばあるナンバーにはキャラクターとして出てました。
 余談ながらFFのファイアはきちんと(?)体内発火、ファイガは体内爆発します。エフェクト的に。テイルズは作品ごとに精霊がいたりいなかったりルールが違いますし、SOは……すみません、喋りすぎました。とにかく魔法等のルールから全体の世界観・設定を考察してみるのも一興ですね。