12.『アルファベット荘事件』北山猛邦

アルファベットがごろごろ転がっている館での殺人事件プラス箱の話。
面白かったです。メインの事件はさすが新本格というか、さすが北山さん。すべてをミステリのために用意するこの潔さ。『創世の箱』に関する顛末も綺麗でしたね。事件に関係ない伏線もちらちらと張っていて楽しめました。
キャラもいいですね。ファウストの短編でもそうでしたが、淡泊なキャラが冗談めいた言葉を漏らすのは好きです。北山さん本人はキャラをあまり意識していないとか。だからと言ってキャラを書かないのではなく、意識する必要がないよう適度に記号を付加している気がします。結果的にそれがキャラ立ちにつながっているんじゃないでしょうか。
そういえば『西尾維新クロニクル』の対談で、西尾が「北山さんは「萌え」書けますよ」なんて言ってましたね。萌えるかどうかはさておき、今後も是非読みたい作家です。