空気

 窒素が八割近くを占めるあれではありません。えあーではなくあともすふぃあー、いわゆる場の空気というやつです。構成成分は人間の感情で、正負の二種類があります。喜怒哀楽で言えば喜と楽が正の成分、怒と哀が負の成分になります。正の成分が多いとふわふわと軽い空気になります。酸素みたいなものです。逆に負の成分が多いとずっしり重い空気になります。二酸化炭素みたいなものです。この正と負の割合によって空気全体の重さが変わってきます。わずかな例外を除けば、空気は軽いほうが好まれます。私も軽いほうが好きです。大好きです。なので非常に消極的ではあるものの、軽くなるよう全力を尽くします。
 ところが先日、私は私の手でこの空気を重くしてしまいました。いつものように笑って済ませていればよかったものを、それができませんでした。わざわざ重苦しい空気を作って、自分だけでなくその場にいた人たち全員を不快にしました。失態でした。自分にあるまじき行為でした。ごめんなさい。これを読んだあなた。どうか当日の顛末は笑い話にしてください。それだけが私の望みです。
 ……なーんて。フィクション以外で真面目っぽい文章を書くと頭が疲労骨折を起こしそうです。あ、オチのネタが分かった人はボクじゃなくて自分自身と握手! もれなく切ない気分になるですよ?